近所に住んでいた異性の幼馴染と恋仲になるなんて、創作の中だけの話だと思っていました。まして実際に自分がそういう事態に直面するとことになるなんて……しかも彼氏募集掲示板での出来事だというのだから、もう私の存在自体がフィクションみたいな感じですね。

 事実は小説より奇なりとはよくいったものです。

 

女だけど男友達

 幼馴染といっても交流があったのは小学校の低学年くらいまでで、その後彼は引っ越しをしてそのまま交流は途絶えていました。私も中学に上る前に父親の仕事の都合で長崎から名古屋に引っ越して、それからはずっとそこに住んでいます。

 昔からままごととかよりも外で遊ぶのが好きで、同年代の男の子達からは多分同性の友達という認識を受けていたと思います。今にして思えば少し失礼な気がしますが、当時の私がそんなことを気にするはずもなく、むしろ何の気兼ねなく思いっきり外を走り回れることが楽しかった。制服はどうしてもスカートを履かないといけませんでしたからそれが少しいやだなと思うことはありましたけど。

 そんなですから、大学に入るまで、いえ大学に入ってからすらもロマンスのかけらもない人生でした。そういう人間が社会に出て出会いがあるのかというと……私には機会は巡ってきませんでした。

 大人になると、というか、実は高校に入ったくらいからなんですが、やっぱり心境の変化といいますか恋をしてみたいと思うようになりまして。しかし周りからは男友達扱いされ、女友達からも男っぽいと言われていた私は、今更その自分を修正する勇気もなく、気づけばもう30歳の足音が。

 そんな私に友達が勧めてくれたのが、彼氏募集掲示板でした。

 

別れてから20年

 実際、この歳になって性経験どころか恋愛経験もないことに焦りを覚えていたんだと思います。彼氏募集掲示板への顔写真の公開にも抵抗はなく、とにかく自分のことを知ってもらおうと思ってプロフィールもしっかりと書いて。

 でも、そういう怖いもの知らずな行動をしたからこそ、彼に見つけてもらえたのだと思っています。

 最初は多少は警戒しました。というより、半ば忘れていたといったほうが正しいでしょう。だって20年も前のこと、そう覚えているものではないですから。でも、話していくうちに少しずつ思い出して、昔のアルバムを引っ張り出したりなんかして、ああ間違いなく彼だと納得する頃には、もう実際に会うことになっていました。これもまた驚くべきことなのですが、彼も引っ越しを続けた末に名古屋にたどり着いていたのです。

 

不安はあったけど

 それでも会うことに対して不安はありました。昔の私を知っているのだから、再会しても結局友達止まりかも……そもそも、昔と同じように女と見てもらえないかもしれない。会うことそのものに不安があったわけではなく、そういった点が怖かったんです。ここまで来るともうコンプレックスですね。身体つきも、決して女らしいとはいい難いものですし。

 でも、大人になりながらもかつての面影を残す彼と会って、そういう不安は消えました。懐かしさから来る感動のせいで、それらを忘れ去ってしまったんです。彼氏募集している身としては少々問題ですね。

 

実は初恋だった?

 そんなこんなで再会を果たした私達は、その後も交流を重ね、気づけば周りからは恋人認定をもらっていました。まあ、その頃はまだ正式に付き合っていたわけではなかったんですけど。ただそういう認識をされたのがきっかけになったのは確かです。ただ、告白らしい告白はどちらもしなかったんですけど。
「どうする? ちゃんと付き合う?」
「そうだな」
 くらいな感じだったと思います。

 お互い、実は初恋だったのかもと思うようになるのはもう少し後のこと。そうだとしたら、幼馴染兼初恋の相手と彼氏募集掲示板で再会したということになりますね。本当に、事実は小説より奇なり、です。